対象建物ホームページ

最優秀案実施住戸

過去のコンペ

最新情報

2010年4月1日
2次審査結果発表審査講評をアップしました。
2010年2月24日
みんなの住まい」のホームページをアップしました。
2010年2月23日
パークホームズ滝野川」のホームページをアップしました。
2010年2月12日
公開2次審査観覧希望者募集をアップしました。
2010年1月14日
応募登録の受け付けを終了しました。
2009年12月26日
図面データの保存形式を一部修正しました。
2009年11月30日
FAQをアップしました。
質問の受付を終了しました。
2009年10月17日
図面データを一部修正しました。
2009年10月1日
図面データをアップしました。
ホームページ をオープンしました。
応募登録の受け付けを開始しました。
RSSRSS配信

審査講評


古谷誠章(建築家/早稲田大学教授)

内藤廣写真

初めての審査でしたが、他のコンペに比べて、既に経験を持つ方の応募が多かったのが印象的でした。しかしその反面、入選作のほとんどは比較的若い世代、必ずしもその道のプロではない方も多かったと思います。このコンペがアイデアコンペでありながら、同時に最優秀作品を実際に施工、販売するという二面性を持つことの表れでしょう。
そのふたつの評価軸を行ったり来たりして審査しましたが、「夫婦と共に成長する」という今回のテーマを考える時、僕自身が思い出したのは、1958年に菊竹清訓が「スカイハウス」を発表した時、「住宅の中心には夫婦がいる」と言っていたことです。そして事実、高々と持ち上げられたその無柱の空間には恒常的な間仕切りはなく、必要な水回りの設備は取替可能なムーブネットとして、すべて正方形平面の外周部に配置されていました。そこには年と共に少しずつ変化する家族構成や夫婦の間柄に対して、住空間自体の柔軟性が企図されていたのです。
最優秀に選ばれた藤原+板橋案には、少しずらした田の字プランを基本として、夫婦や家族が成長していく過程で空間が使いこなされていくイメージが描かれていました。田の字の対角に夫婦それぞれの陣地のような部屋を置いた点がポイントで、お互いを訪ね合うような楽しい生活が想像できます。若い方たちの提案としては大胆な、最初から夫婦別寝室の提案ですが、これならいずれ夫婦が仲良くどちらかの陣地に納まることもできるでしょうね。
優秀の青木+鈴木案は、審査を通じて僕が最も感心した作品です。「まどべや」と呼ばれる外周部の小空間群は、いずれも綿密にスタディされていて、中央の広間にはこれらすべてから光が入ります。ふたりがそれぞれこの「部屋」にいれば互いに干渉せず、片方ならば緩やかに隔てられます。実施作には選ばれませんでしたが、既存マンションの改修などには、とても効果的な提案になると思います。


光井純(建築家/ペリ クラーク ペリ アーキテクツ ジャパン,光井純&アソシエーツ建築設計事務所代表)

光井純写真

このコンペも6回目を迎え、建築界においてかなり認知度が高まってきたことが作品の内容からも伺えるようになった。建設することが前提であるから、勝ち抜いていくためには、実現を可能にする技術力、社会を先導する住空間の提案力そして公開審査でのプレゼンテーションの力などバランスの取れた建築家の力を必要とされるコンペである。
今年は70m2弱の空間のなかに実に多くの可能性が示されていた。特に最優秀の藤原+板橋案は、妻と夫の関係をあたかも野原に張ったふたつのテントのように捉え、住空間全体を連続する広場と考えて提案している。夫婦の関係は共同生活を始めてから終わりの時を迎えるまで微妙に絶え間なく変化していく。子どもが増えたりすることで劇的な変化を迎える時もあるが、毎日の生活の中で、ふたりの間の距離感は時間軸と共に変化していく。一緒にいながらも、一定の距離を持っていることがより深い、発展的な関係を構築していく。時間の経過によって変わる夫婦の微妙な距離感を読み込むことのできた案と考え高く評価した。また一方で優秀となった浅岡+青島案は床下の空間を利用したルームインルームの考え方で、全体空間と入れ子空間との間の縁側を、夫婦間の微妙な距離感を扱う仕掛けとして展開した案である。考え方は明快でシンプルなのでとても使いやすそうな構成には見えるものの、この縁側空間の硬さ、すなわちさまざまな暮らしのかたちを許容しにくい単調さに私は少し引っかかった。土間側に座ったり、入れ子空間側で腰掛けたり、縁側に座ったりと多様な夫婦の情景の可能性を示しながらも、デザインの方が追いついていない点が残念であった。青木+鈴木案は「まどべや」という夢を誘う案であり、かなり議論を巻き起こした案ではあったが、中央空間のイメージが「まどべや」と比較して貧困であったこと、また「まどべや」のあまりの小ささに、その機能性が疑問視されたことなどから最優秀案には至らなかった。
佳作の中では増田+山口案が目を引いた。大型のテーブルが夫婦の距離をはかる仕掛けとして提案されており、明快で力強い案であった。しかしながらテーブル下の使われ方や、各部屋の間のプライバシーのコントロールなどに難点があるとされて1回目の投票では多くの票は獲得したものの佳作にとどまった。
私も審査会を通じて多くのことを学ぶことができ、ご参加いただいた多くの方々に心よりお礼を申し上げたい。


渡辺真理(建築家/法政大学教授)

渡辺真理写真

「夫婦と共に成長する住まい」というテーマの背景には、現在の分譲マンションが郊外の一戸建てという最終目標に到達するためのひとつのステップであるという、いわゆる「住宅双六」が成立しなくなった時代であること、したがってマンションは多くの世帯にとっては一生の買い物であり、終の棲家にもなるものなのだという問題意識がある。
初めの住まいであり終の棲家でもある住居については「ライフステージ」という着想がある。人生の各段階に発生する、子育て、子どもの成長、子離れ、カップルの死別などに対して適応できる住まいという視点だ
が、多用されたのでやや手垢のついた感がないわけではない。
2次審査に残った8点はそれぞれ1次審査の提案をブラッシュアップしてきたので審査は激戦となった。ただ、住まい手の生活の変化を時間軸で説明するプレゼンテーションが少なかったのは予想外だった。発表者としては、おそらく常套句化した「ライフステージ」をそのまま説明するのはいかにもバナルであろうということでそこに触れるのを避けたのかもしれないが、ここで求められていたものが単に新奇性のある住まいの提案だけではないことを示す必要があった。最優秀に選ばれた藤原+板橋案はその基本をわきまえたプレゼンテーションが審査員にアピールするものがあった。ただし、公開2次審査時のプレゼンテーションの平面計画では当初案の「田の字型平面」の素朴さ、力強さがやや失われたように見えたし、間仕切壁の上部に間接照明を設けるというような商業建築的な手法には疑問も感じた。それが最終投票での2票対1票という僅差の選考となった原因だったのではないだろうか。それでも4つの「リビング」が家族の成長を担保するというアイデアは住まいの新しい可能性を感じさせるものだったし、実現性のある、フレキシビリティをもったコンセプトと思われた。今後、初心に戻って、実施案を検討していただきたい。


鈴木健(三井不動産レジデンシャル専務執行役員 開発事業本部長)

鈴木健写真

今年で第6回目を迎える当コンペは、われわれデベロッパーと建築家の新しい関係を見出すことで、新たな快適さを感じていただける「住まい」の創造を目指し、新建築社と共催してきたものです。今回は、北区滝野川に位置する都心立地の住宅街にて「夫婦と共に成長する住まい」をテーマといたしました。昨年に引き続き、私どもの基幹ブランドである「パークホームズ」において、最も多くマーケットに供給されている約70m2の空間の中に、昨今多様化する「夫婦」のあり方を反映した、新しいライフスタイルの提案を求めました。また「成長」という言葉に、時間と共に変化する家族形態・暮らし方に対応するプラン提案への期待を込めました。
今回も多くの方にご応募いただき、大変喜ばしく思っております。この場をお借りしお礼申し上げます。熱意のこもった既成概念にとらわれない多くのご提案に、住空間デザインにおける奥深さを再認識させていただくことができました。
このコンペの最大の特徴は、受賞作を実際の住宅として建築し、商品として販売を行うことにあります。可能性を秘めた斬新さのみではなく、実際のお客様に「快適さ」を感じていただき、購入意欲の湧き上がる住まいとなるかという観点から審査させていただきました。
このコンペを通して、建築家の方々と共に、常に新たな時代に呼応する住まいと暮らしを提案してまいりたいと考えております。