2009年の『新建築』と『新建築住宅特集』の掲載作品と記事の中で最も印象に残った3点を推薦していただいたアンケートです.
作品では,『新建築』9月号掲載の「木材会館」(山梨知彦/日建設計+勝矢武之/NSD)が最も多くの推薦を集めました.以下,「座・高円寺」(同5月号),「八幡浜市立日土小学校保存再生」(同11月号),「根津美術館」(同11月号)が続きました.
論文・記事では,「巻頭インタビュー:今、建築界全体で考えるべきこと 邑楽町コンペ・建築家集団訴訟和解を通して」(山本理顕×五十嵐太郎 同9月号)と,「巻頭論文:日土小学校の保存再生がくれた夢」(花田佳明 同11月号)が,『新建築住宅特集』からは「連載:建築家自邸からの家学び」(真壁智治ほか 『新建築住宅特集』3月号から連載)が注目を集めました.
以下,推薦作品の概要と推薦者のお名前、コメントを掲載月号順に紹介します.論文・記事編はこちらから。
新建築2009年1月号 | ▲
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中央美術学院美術館 設計 磯崎新アトリエ 施工 上海市第七建築有限公司 所在地 中華人民共和国北京市朝陽区 北京市北東部にある中央美術学院の一画に建つ.曲面が複雑に組み合わされ,相互に繋がりながらもさまざまな形態と光の展示空間がつくり出されている.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
駒田由香 外観は力強く、中国的な雰囲気を感じさせるが、室内の微妙な光のグラデーションが素晴らしい。 土井一秀 曲面を使いながらも複雑になりすぎず、大らかな大空間だと思いました。 柄沢祐輔 フリーフォームのカーブの断面が絡み合いつつ、そのカーブをさらに自由曲面が補間するという操作によって、多様な方向へと力線が流れてゆく迫真の大空間が生み出されている。力学的な合理性と自由曲面の流動性がバランスよく拮抗し、空間全体に強い緊張感が生じている。トップライトのデザインも斬新であり、空間に張りつめる力学的な側面を強調している。 |
新建築2009年1月号 | ▲
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ナミックステクノコア 設計 山本理顕設計工場 施工 大成建設 所在地 新潟県新潟市北区 日本海近くの工業団地の一画にある企業の研究開発施設.鉄骨造.基壇状の1階の上にキノコ状ストラクチャーの2階が載る構成.1階は実験室.全周が曲面ガラス張りの2階は,オフィス,ミーティングスペース,食堂からなる.緑化されたM2階には1階の給排気塔が設けられ,設備層として機能する.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
今村雅樹 奇麗な形である。この建築の中には、人工的でありながら光の柔らかさと有機的な造形がある。フランク・ロイド・ライトのジョンソンワックスやグッゲンハイムを思い起こした。内井昭蔵的解釈のライトではなく、技術的な側面でのライトの空間性が垣間見える。 |
新建築2009年1月号 | ▲
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MIYAJIMA OFFICE 船倉税理士事務所 設計 三分一博志建築設計事務所 施工 竹内 所在地 広島県廿日市市 広島に建つ税理士事務所のオフィス.空調機を使わず,煙突状のボリュームにより重力換気を促す.執務空間は半地下に設けられている.倉庫に眠っていた銘木を構造の壁柱や仕上げにふんだんに使用.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
峯田建 不思議なプランのきっかけが、中央に配置されたヒートチムニーとクールチューブの応用から導かれていると悟った瞬間に嬉しくなった作品。半分地下に埋まっているガラス温室なのだが、立ち姿も机上からの風景も伸びやかであり、原理を形態に落とし込むことで満足しないセンスを感じる。ジャロジーの開閉のみで温熱環境を全てコントロールできてしまうのではという期待もある。空気層を幾重にも重ねた皮膜の効果とそれらをハンドリングするインターフェースを是非見てみたい。 |
新建築2009年1月号 | ▲
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SUMIKA Project by Tokyo Gas コールハウス 設計 藤森照信+速水清孝 施工 トヨタウッドユーホーム 所在地 栃木県宇都宮市 高低差のある住宅地に建つ木造2階建ての住宅.床,壁,天井の接点を斜めに納めた洞窟状の主室を中心に構成されている.主室にはガス暖炉があり,また,階段室などへの開口の寸法を極力小さくしている.外壁は焼杉乱尺下見板張り.2階に張り出した茶室へは,ヒノキのはしごを上って直接入ることができる.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
渡辺菊眞 完全なるモダニズムプランニングと、その撹乱としての古めかしい表皮+細部(内外とも)。天井と屋根面の二重性がモダニズムに対する「違反」としてあり、内部空間を豊かにしている。現代建築として月並みな手法を「石器時代の洞窟」と接続させて「原型」ととぼける話法はあいもかわらずお見事。 |
新建築2009年1月号 | ▲
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SUMIKA Project by Tokyo Gas 宇都宮のハウス 設計 西沢大良建築設計事務所 施工 トヨタウッドユーホーム 所在地 栃木県宇都宮市 平屋の住宅.厚さ800mmの屋根スラブから光と風を屋内に取り入れる.屋根スラブには半透明の部分と,透明なトップライトの部分があり,太陽の運行に合わせて直射光の落ちる位置が考えられている.床全面に循環水チューブが敷かれ,冬期は床暖房,夏期は同じ循環水を井水で冷却して輻射冷房としている.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
野生司義光 自然と共に生きる、生き方に共感。この天井の光を体験してみたい。 |
新建築2009年1月号 | ▲
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SUMIKA Project by Tokyo Gas House before House 設計 藤本壮介建築設計事務所 施工 トヨタウッドユーホーム 所在地 栃木県宇都宮市 2〜2.5mの箱を立体的に積み上げた住宅,敷地内といくつかの箱にはさまざまな樹種の落葉樹が植えられている.箱は,厚さ2.3mmの鉄板を,工場で溶接してつくり,現場で積み上げ溶接.鉄骨の外部階段やテラスを介して箱状の部屋が繋がっていく.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
柄沢祐輔 四角いキューブが散らばる隙間の空間が快適な「場」をいたるところに発生させている。それだけでなく、それぞれのキューブ自体にも内部空間が設えられていることによって、ふたつの空間の重なり合いが予期しない複雑で濃密な空間の状況を醸し出している。何よりもスケール感が心地よい。 渡辺菊眞 最小限のルール設定でできる建築。「痴呆的ふるまいの理知」という現在建築の伝家の宝刀ともいえる手法であるが、その実「そう遠くない時代」の生々しい建築実験の墓場から死体を掘り出してそれをモダニズム石鹸で丁寧に洗い流して再配置した作品ではないかと推測する。藤森建築の手法的反転みたいな感じ。 |
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光の矩形 設計 五十嵐淳建築設計 施工 大岡産業 所在地 北海道札幌市 住宅特集 2009年1月号 022頁 札幌市内に建てられた緩衝空間における矩形の開口を試行した住宅の第一作。凍結深度分床レベルが下げられ、高い天井が確保されたリビングダイニングを中心部に配置し、その両端の南北に緩衝空間を設けている。北側の緩衝空間には階段室とその踊り場を使った個人の居場所が断面的に展開している。南側の緩衝空間は光溜まりの吹抜けとなっており、採光・通風・冷気止め・動線などの機能をもつ。南側の緩衝空間に設けられた矩形の開口から刻々と変わる光がリビングダイニングに間接的に差し込み、その光の状態が室内にも反映される。
![]() 光の矩形 撮影:新建築社写真部 |
駒田剛司 光が溶け出すような空間が美しい。 |
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名古屋の住宅 設計 谷尻誠/suppose design office 構造 名和研二/なわけんジム 施工 岡本建設 住宅特集 2009年1月号 064頁 地上1階が建主が営むフラワーショップ兼ギャラリーとなっている地上3階建ての併用住宅。階高の高い1階部分は、前面道路と北側の小学校の敷地の両側に開き、住居部にあたる2・3階は騒音に考慮し北側のみテラスと開口を設け、小学校の植栽を借景として楽しむ。また、壁と天井を屏風のように折ることで、構造的負担を軽減すると共に室内に陰影をつくり出し、凸凹を利用した棚や書斎スペース、設備スペースとして機能している。1階には離れとして鉄板造の和室も設置されている。
![]() 名古屋の住宅 撮影:新建築社写真部 |
戸井建一郎 躯体がそのまま意匠となったコンパクトながらも明確で素直な考え方がよい。 |
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ダブル・チムニー 設計 アトリエ・ワン 施工 笹沢建設 所在地 長野県北佐久郡軽井沢町 住宅特集 2009年1月号 084頁 軽井沢らしい雑木林の中の建て売り別荘。敷地中央のナラやクヌギを避けるようにふたつのシンメトリーな三角形平面のヴォリュームを配している。向き合う面に大きなトラスを組み込み、ふたつの三角の要部分に鉄骨柱を一本入れることで、林に向けて大きな開口を確保している。また将来のオーナーにとってプランも含めて「家褒め」できるセグメントが多数盛り込まれており、桐の床、珪藻土仕上げの暖炉と手摺、ストーブ、平行四辺形の階段、ロッジア、薄い鉄板の庇などがその一部である。
![]() ダブル・チムニー 撮影:新建築社写真部 |
堀尾浩 構造に見られるテクニカルなアプローチの一方で、平面計画やディテールのところどころに散見する恣意的な不自然さ。 そのバランス感覚に楽しさを感じました。 |
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御代田山荘 設計 奥山信一研究室 施工 フジコーポレーション 所在地 長野県北佐久郡御代田町 住宅特集 2009年1月号 098頁 舞台のようなコンクリート打放しテラスの両袖に、竪羽目板張りの雨戸が立ち、その奥に杉板横張りの小屋裏の箱が浮かぶ広間がある。広間中央には小屋裏の箱から鉄筋で吊られたテーブルとベンチ、梯子状階段、シェーカー型薪ストーブが、貝殻粉末左官仕上げの白壁を背景として横一列に置かれている。内側上部の棟方向には、幅1.5間の大きな家具のような木造小屋裏ヴォリュームが吊られている。
![]() 御代田山荘 撮影:新建築社写真部 |
堀尾浩 一分の隙もなくそこにある建築と思いました。建築としての自立性、構造と材料、インテリアと素材、それらが織りなす全体。そして階段の在りかたに、感服しました。 |
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廊の家 設計 武井誠+鍋島千恵/TNA 施工 新津組 所在地 長野県北佐久郡御代田町 住宅特集 2009年1月号 126頁 傾斜角度45度の斜面に、廊下状に連続した建物が挿入される。エントランスには斜面下の道路から84段の階段を上ってアプローチする。同じ高さを移動する中で、地中に埋もれた洞窟のような場所から空中に浮いた場所へと、いろいろな地面との関係が体験できる。地面からUの字型に張り出した空間を囲む開口は、ガラス勝ちに納めることで面として見えてくる。外壁は樹脂モルタル粗塗り仕上げ、屋根はFRP。
![]() 廊の家 撮影:新建築社写真部 |
久保清一 空中に浮く「中野本町の家」をあらためて構築しようとする自分がいた。 戸井建一郎 急斜面の敷地に対して空間を埋設、浮遊させたアクロバティックな建築と自然との関わりが美しい。 森田昌宏 大胆かつ力強いが優しい。テラスに出るよりも、室内にいながら緑を満喫するのは、人間の本質(ずぼらさ)の的を射ていると思います。 |
新建築2009年2月号 | ▲
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KAGA RESIDENCE 設計 KAJIMA DESIGN 施工 鹿島建設 所在地 東京都板橋区 住戸内に柱梁型の出ない壁式免震構造(HIスマートウォール)による地上14階建て,合計246戸の分譲集合住宅.ほぼ三角形の敷地に建物がY字状に配置され,周囲に緑地広場がつくられるなど周辺環境にも配慮した計画.
![]() KAGA RESIDENCE 撮影:新建築社写真部 |
川瀬俊二 片廊下式と階段室型に分類された明快な配置計画。ともすれば、生活感や設備的機能が露呈してしまうこの種の建築を、構造計画・設備計画共にきわめて端正な建築的処理している手腕を高く買いたい。決して広くない外部空間も建築設計の手法と一貫して、機能美的で美しいランドスケープに纏められている。 |
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GO-TEI 設計 服部信康建築設計事務所 施工 箱屋 所在地 愛知県西春日井郡豊山町 住宅特集 2009年2月号 030頁 最高高さを4,250mmとし、周囲の建物に比べてボリュームが抑えらた平屋の住宅。光の量(体積)と反射による光、その光を受ける天井や壁の配置を調整することにより、緩やかな勾配の方形屋根を持つ高さ3,300mmの小さいトップライトから光が部屋の隅々まで回る内部空間が実現されている。
![]() GO-TEI 撮影:新建築社写真部 |
石井秀樹 設計者と施主が生み出したこの空間に敬意を表します。 浅利幸男 須賀茂幸 物理的なシェルターを超えて、家族をさせる精神的なシェルターになりうる力強さをその光に感じました。 |
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千歳船橋の住宅 設計 メジロスタジオ 施工 アートウェッブハウス 所在地 東京都世田谷区 住宅特集 2009年2月号 108頁 築30余年のPC板組立造プレファブ住宅の改修。間取りを構成していた内装壁を解体し、残された躯体に異なる仕上げを施した4つの居場所を設けている。それぞれの居場所は完全に仕切られることはなく、垂れ壁や床の仕上げにより認識され、緩やかにつながる。そしてダイニングスペースが流動的な4つの領域をつなぐよう、中央に配される。
![]() 千歳船橋の住宅 撮影:新建築社写真部 |
岡本宏 116㎡のPC規格住宅の改修。どこにでもありそうなPC造の住宅が、スケルトン+インフィルのもと,見事の変身を遂げている。一方でこれだけの変化がいくらでできているのか示されておらず、作品紹介のみで終わっているのは残念である。 |
新建築2009年3月号 | ▲
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四条木製ビル/第15長谷ビル
設計 河井敏明/河井事務所 大建設計 施工 鴻池組 所在地 京都府中京区 京都市,烏丸通沿いに建つ地下1階,地上9階建てのテナントオフィスビル.敷地は四条通からの交差点に近く,第5種美観整備地区になる.構造は鉄骨造.外壁には地元のスギ間伐材を不燃処理した無垢の下見板張りパネルを用いており,プレキャストコンクリートの庇が1,560mmの間隔で木のファサードを分節する.
![]() 四条木製ビル/第15長谷ビル 撮影:新建築社写真部 |
薩田英男 現代都市の表情が高層化、高密度化に伴い、不燃材や工業製品によって形成されることが当たり前になってる中で、特に京都という歴史的な場所で古来から使われてきた杉材に着目し、CO2を固化するための新しい環境素材と位置付け、21世紀の新しい中高層都市空間を提案している。現代都市にやわらかな素材、時間のなかで培われてきた「まちの記憶の素材」をもっと大事に未来へとつないでいくとい考えがさらに重要になってくるのではないか。 |
新建築2009年3月号 | ▲
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三里屯VILLAGE北区
オポジットハウス 設計 隈研吾建築都市設計事務所 施工 中国建工集団 Beijing Yang Jia Construction Engineer Yearfull Construction 「四合院」型に配置された北区に立つオポジットハウスは,四合院の客間である「対院」を指す.外壁は強化ガラスに中国の格子パターンをセラミックプリントしたものをSSG構法によって構成したもの.中心のアトリウムに天井から垂れるステンレスメッシュが1階のパブリックエリアと2〜6階の客室会を緩やかに分ける.南区のサウスタワーは地上4階建ての商業施設.外壁には2枚のガラス間に三角断面の色付きアクリル棒を挿入したものが使われている.
![]() 三里屯VILLAGE北区 オポジットハウス 撮影:新建築社写真部 |
国広ジョージ 中国現代社会の求めるデカダンスをスマートにまとめた隈氏らしい作品。ロビー大空間に掛かるステンレスメッシュは、ゲストルームの閉ざされたプライベート空間で繰り広げられるエロティカを想像させる魅力的なジオメトリーだ。 |
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愛宕の山荘 設計 武富恭美 / d/dt Arch. 施工 相崎工務店 所在地 長野県北佐久郡軽井沢町 住宅特集 2009年3月号 036頁 愛宕山麓の樹木と苔の美しい敷地に建つ別荘。リビングを中心とした吹抜けが間口7.2m、高さ4.3mの開口部を介して庭とつながる。また張力複合構造を用いた寝室部分やライブラリーには浮遊感をもたせ、自然との距離を楽しむさまざまな場所が設えられている。
![]() 愛宕の山荘 撮影:新建築社写真部 |
原田真宏 健全なもののあり様が、周辺環境の自然の合理と響いている。大切につくられたものは大切に残されていくのでしょう。 |
新建築2009年4月号 | ▲
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長野県稲荷山養護学校 設計 北川原温建築都市研究所 施工 岡谷組(1・2期) 滝沢組(3期) 所在地 長野県千曲市 既存の養護学校の建て替え.主構造は県内産カラマツによる木造.登り梁,柱,方杖などを2本組にし,「めり込み」の効果を用いることによって,小断面の材を使いながら,大きな空間をつくっている.「めり込み」は「岐阜県立森林文化アカデミー」(本誌0108)などからの展開.また,ジョイントは1点で2部材以上を接合しないことでシンプルにしている.
![]() 長野県稲荷山養護学校 撮影:新建築社写真部 |
野生司義光 プロポーザルで、勝ち残った力強さがある。遠景から意識したという屋根は、地域のシンボルとしての存在感があり、住まい手からは、木のぬくもりが感じられて暮らしやすい空間に思える。 |
新建築2009年4月号 | ▲
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宇治のアトリエ 設計 長坂大/Mega 宮城俊作(PLACEMEDIA) 施工 ミナミ建設 寺㟢造園 所在地 京都府宇治市 平等院の近くに建つ,ランドスケープアーキテクトの宮城俊作氏のアトリエ.東側は塀越しに平等院や山の稜線を眺められるよう,建築は地面から少しだけ浮いている.一方,西側(アプローチ側)は地窓が設けられ,前庭には面状に植えられたササの原にヤマザクラが立ち,古材を用いた延段が敷かれている.東西で遠景と近景のコントラストをつくり出している.
![]() 宇治のアトリエ 撮影:新建築社写真部 |
手嶋保 前庭、アプローチ、借景と一体の修景建築による景観への貢献。 浅利幸男 須賀茂幸 建物と地面、前庭へのアプローチそれぞれの関係の仕方が不思議なんです。 川口通正 よく検討されたシンプルな平面と外構と造園。そして、吟味された開口と断面は、日本を強く感じて潔い。複雑にしなくても、緊張感ある建築ができるという好例。 |
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森の住処 設計 眞田大輔+名和研二/すわ製作所 施工 伊藤久夫 所在地 長野県茅野市 住宅特集 2009年4月号 119頁 16m×6mの平屋ヴォリュームの平面中央にL型RC壁と木柱が配され、線と点で構成された別荘。L型RC壁を不連続配置することによって、周囲に広がるカラマツ林の気配をそのまま感じられるよう不均質性を室内に取り込んでいる。
![]() 森の住処 撮影:新建築社写真部 |
庄司寛 単純な断面構成の中にとても居心地のよさそうな空間が組み込まれていると感じました。 |
新建築2009年5月号 | ▲
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座・高円寺 設計 伊東豊雄建築設計事務所 施工 大成建設 所在地 東京都杉並区 旧高円寺会館の老朽化に伴い建て替えられた劇場.1階にあるメインのホールは外部の高さとレベル差のない広場的な空間で,さまざまな舞台形式に対応できる.地下2階のホールは舞台設備が整えられ専門性が高いものとなっている.その他,阿波おどりの練習のための空間やカフェなどが設けられている.それらを片側鋼板コンクリート(外側が鉄板,内側がコンクリート)の薄い壁がテント小屋のように覆っている.
![]() 座・高円寺 撮影:新建築社写真部 |
今村雅樹 竣工近くに拝見させていただいた。我々もコンペの時に参加したが、タイトな敷地にうまく計画された建築である。まつもと市民芸術館でも敷地の条件をうまく逆手にとって計画されたが、伊東さんはコンテクストをうまくプログラム化される。コンペ時の案から「テント小屋」へと発展しているが、地域の人にとっては馴染みやすいメタファーであろう。 小泉雅生 雑多な都市環境のなかで、非日常空間がつくり出されている。 田中正英 鋼板コンクリートをテント地のように表現していますが、軽やかなのがよいですね。 土屋辰之助 テンポラリーであるはずの幕屋がコンクリートと鉄板でつくられているのだが、不思議と高円寺という町と中央線車窓からの風景に馴染んでいる。時間を止めたような緊張感もある。 龍門達夫 テント小屋のイメージを鉄板12mmで表現したアイデアに敬服致します。中央線から見える水玉の光が楽しげであります。 岡本賢 狭隘な敷地の中の単純な平面型からユニークな形態と豊かな華やかな艶のある空間が創出された。 |
新建築2009年5月号 | ▲
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国際教養大学図書館棟・講義棟 設計 仙田満+環境デザイン・コスモス設計共同企業体 施工 大木・沢木・足利・石郷岡・互大異業種共同企業体 長谷駒・三和興業・本荘電気・三和施設異業種共同企業体 所在地 秋田県秋田市 秋田市郊外の国際教養大学の既存キャンパスに建てられた図書館棟と講義棟.それぞれ異なる構造を用いて,鉄筋コンクリート造の躯体に秋田スギによる木造の屋根を持つ.図書館グレートホールはスチールフィーレンデールとホール中央の直径300mmのスギ丸太を鉄骨で束ねた放射状斜柱による傘状の構造.半円状の平面を持つグレートホールは段上の床で構成され,段下にはリーディングスペースなどさまざまな場所がつくられている.講義棟レクチャーホールには木造3次元トラスによる屋根が架けられている.
![]() 図書館棟グレートホール. 撮影:新建築社写真部 |
橋本廉太郎 木質空間のダイナミズム、空気感が荘厳でありつつ軽快。 馬場璋造 どのような空間をつくるかを先に構想し、それに合わせて木材の使い方を工夫している。それにより木材の限界を超えた空間を木材と鉄を組み合わせてつくり出している。 |
新建築2009年5月号 | ▲
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奥沢の家 設計 長坂常/スキーマ建築計画 施工 アイガー産業 所在地 東京都世田谷区 1980年代(バブル期)に建てられた個人住宅の改修.室内では既存の鉄骨梁や小屋裏を現しとし,夜は鏡面処理を施したサッシに室内を映し込ませる.また外壁は既存煉瓦タイルのテクスチャを生かしたフロッタージュ(こする)という手法で塗装するなど,既存の要素に設計者の表現を重ね合わせ,時間の重層を試みている.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
香川貴範 「残すべきものがない」と感じる程の中から「選択」したものと新しく「付加」したものに、対比や序列を見出すのではなく、すべてを共時的に捉え、ひとつの作品として見出すリテラシーが新しい。合理性に繋がらない「選択」が設計であることに気付かされた。リフォーム・リノベーションが、新築を超えた豊かな空間を獲得し得る可能性と、そのジャンル自体が新しい「素材」であることを、これほどまで示せた作品はないのではないだろうか? 高橋堅 「普通」というものに今後どのように対峙していくべきかとても考えさせられた。 芝山哲也 奥沢というブランド的な町並みにあって、既存建物に行われた操作は、刺激的であり大胆だ。何でもない素材を、見逃さず露出したり動かすことによって、異なる存在とし活かしていく視点など、様々な可能性を感じさせてくれた。 |
新建築2009年5月号 | ▲
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スモール・ケーススタディ・ハウス 設計 アトリエ・ワン 会場 ROY AND EDNA DISNEY/CALARTS THEATER (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス) MAP アメリカ合衆国・ロサンゼルスで行われた展覧会.ひとつの「気付き」でひとつの住宅をつくるという考え方のもと「ハンモック」,「バーベキュー」,「サンセット」というロサンゼルスの住宅街で日常的に見られる風景を作品化している.アメリカの住宅で日常的に使用されている2×6材.その古材を材料にしている.
![]() 撮影・写真提供:Steven A Gunther |
田井幹夫 身体の特徴を極限にまで突き詰め、素材や構造、構成などを極限にまで突き詰めて、非常に極端なオブジェを作るということは、建築の根源のように思えて興味深かった。 |
新建築2009年5月号 | ▲
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Ao〈アオ〉 設計 日本設計 施工 鹿島建設 所在地 東京都港区 東京・表参道駅近く(スーパーマーケットの紀ノ国屋跡地),青山通りに面して建つ複合商業施設.日影やビル風に配慮し,タワー部の形状は楔形.外壁はエアフロー方式のダブルスキンカーテンウォールで,夜には建物外周に組み込まれた高輝度フルカラーLEDのイルミネーションが点灯する.住宅街に面する西側低層部は段状の庭(ステップガーデン)となっている.
![]() Ao〈アオ〉. 撮影:新建築社写真部 |
丹下憲孝 単純化されがちなカーテンウォール建築に彫刻的要素を加えた素晴らしい作品だと思います。 |
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HOUSE C 地層の家 設計 中村拓志/NAP建築設計事務所 施工 屋代工務店 所在地 千葉県 住宅特集 2009年05月号 018頁 地面から隆起したかのように大地と土壁がなめらかに繋がる海沿いの週末住宅。周辺敷地の環境を活かし、南側の海から、北側に広がる山へと視線や風が抜けていくワンルームの構成。屋上では四季折々、場所特有の植物の成長が楽しめる。
![]() HOUSE C 地層の家 撮影:新建築社写真部 |
野生司義光 中村拓志さんの作品で、「Dancing trees,Singing birds]を拝見したが、非常に意欲的な作品でした。今回の地層の家も作家の意欲が感じられて、好感がもてる作品である。ワンルームで広いデッキを持つ別荘は、別荘のあり方の原点だと思っている。 |
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大泉の家 設計 菊地宏建築設計事務所 施工 ミサワホーム東京 所在地 東京都練馬区 住宅特集 2009年05月号 056頁 目の前を通る鉄道の高架橋工事に伴い、もともとあった建物を取り壊しセットバックして再建するもの。与条件から3フロアとも同じ平面形式を取らざるを得ず、隣地の借景を前提に各階異なる方角に窓を配置し、それらをつなげるように内壁の一部に色が施されている。それぞれの色は、窓先の景色の色や、方角による分光分布に基づいている。
![]() 大泉の家 撮影:新建築社写真部 |
石井秀樹 設計の妙を感じました。 中村竜治 色について興味を持たせてくれた建築。 |
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藤沢の家 設計 八島正年+八島夕子/八島建築設計事務所 施工 葉山工務店 所在地 神奈川県藤沢市 住宅特集 2009年05月号 064頁 1階部分がRC壁式構造、2階が木造在来工法の混構造。敷地の地盤面を全体的に掘り下げ、半地下となった1階をガラスで囲むことで開放的で落ち着きのあるLDK空間としている。また素材も2階部分のレッドシダーから1階のアジアンサンタマリアのフローリング、サクラの天井、ブラックチェリーのキッチン天板など、多様なものを用い、温かみのある空間に仕上げている。
![]() 藤沢の家 撮影:新建築社写真部 |
峯田建 混構造になっている理由が明快な住宅。かなりメリハリのある空間構成であり、様々な空間と素材が散りばめられているが、家としての一体感や安堵感が失われないところにプロポーション操作の巧さが伺える。 |
新建築2009年6月号 | ▲
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七沢希望の丘初等学校 設計 中村勉総合計画事務所 施工 白石建設 所在地 神奈川県厚木市 1学年20人,全校生徒120人の小規模学校.無学年で縦割りグループによる教育を目指す私立学校.集成材を使わず,県産材の大加工の空間をつくる.クールチューブ,ソーラーチムニーによる換気,バイオマスボイラーなど環境にも配慮.
![]() 七沢希望の丘初等学校 撮影:新建築社写真部 |
水野一郎 気配りに満ちていて、建築の力を納得させる作品。 中江哲 設計者が敷地の選定にまで関わり、繊細な敷地の読み取り、シークエンスや空間のさりげないつくり込みがすばらしい。実際に建物を見学して、その思いが強くなりました。 |
新建築2009年6月号 | ▲
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イスノキ 設計 齊藤正轂工房 施工 善建+轂工房(半直営) 所在地 香川県丸亀市 丸亀市郊外に建つ設計者自身の事務所.事務所,中川幸夫プレ美術館,ショップが入る鉄骨造の事務所棟と木造の温室棟が並ぶ.ピアチェックの要らないルート 1-1でできるラーメン構造,床暖房配管ユニットを改造したコンベクター,地下水の利用など,構造や環境についてさまざまな試みを行っている.
![]() イスノキ 撮影:新建築社写真部 |
田中正英 軽々とコンクリートの壁を持ち上げた表現、久々に気持ちよかったです。 |
新建築2009年6月号 | ▲
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青葉ヒルズ 設計 野生司義光/野生司環境設計 施工 りんかい日産建設・石井建設工業特定建設共同企業体 所在地 神奈川県横浜市 入所120室,短期入所(ショートステイ)20室,通所(デイサービス)1室の特別養護老人ホーム.北側の共用部に立体的なラウンジを配し,隣地の緑やビオトープを眺められる開放的な空間としている.南側は10戸単位の個室群と共同生活室を単位とした4つのボリュームに分節.プレストレストコンクリートによって,無柱空間を実現している.
![]() 青葉ヒルズ 撮影:新建築社写真部 |
浅利幸男 須賀茂幸 無柱空間に嵌ったダイナミックな開口部が気になりました。 |
新建築2009年6月号 | ▲
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森×hako 設計 前田圭介/UID 一級建築士事務所 施工 ホーム 所在地 広島県福山市 3つの異なる業種が入るテナントビル.前面道路に面する間口に対して奥行のある細長い敷地において,建物をふたつの「ハコ(箱)」に分け,その中間に植栽帯「森のハコ」を設けて,条件の悪いとされる敷地奥の環境に付加価値を与えている.ふたつのハコと森のハコによってレイヤー状に4枚の壁が生成される.その壁には一見ランダムな開口が設けられているが,テナント同士のプライバシーや植栽帯でのアクティビティ,レイヤーによって生成される開口の重なりを考慮して位置が決められている.
![]() 森×hako 撮影:新建築社写真部 |
庄司寛 ひとつの箱の中に組み込まれ,レイヤーを意識して構成された空間がとても爽やかな印象を与えてくれました。 水野一郎 小さな箱なのに空間の豊かな展開に驚く。 磯達雄 内部と外部が干渉し合いながら気持ちのよい空間をつくり上げているところがよかった。 峯田建 シンプルな形態操作で、植栽を含む豊かな空間を生み出しているところが好み。中間の箱に施された色も絶妙で、射し込む光と相まって植栽を引き立てると共に、開口風景に奥行きとアクセントを加えており、屋内に心地よい距離感覚が生み出されいる様子が伺える。 |
新建築2009年6月号 | ▲
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OYM 設計 新関謙一郎/NIIZEKI STUDIO 施工 TH-1 所在地 東京都渋谷区 道路拡張によって生まれた間口方向に細長く奥行の少ない敷地に建てられたオフィスビル.奥行を確保するため,敷地境界際での施工が可能な鉄筋コンクリート組積造(RM造)が採用されている.特注色の白色のコンクリートブロックは構造体であり,内外壁の仕上げにもなっている.内部空間は長手方向に空間の広がりを意識するよう壁の配置を工夫し.外部では通りに大きく面したコンクリートブロックの壁面によって都市の風景をつくっている.
![]() OYM 撮影:新建築社写真部 |
土井一秀 建物のつくり方やでき上がった空間がシンプルで美しいと思います。 |
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北鎌倉の家 設計 谷尻誠/suppose design office 構造 名和研二/なわけんジム 施工 栄港建設 所在地 神奈川県鎌倉市 住宅特集 2009年06月号 028頁 MAP 段差と既存擁壁のある敷地に、コンクリートシャフトを上下段に建て、鉄骨の床と屋根によって段差間を架け渡す構成。コンクリートシャフト部に玄関・和室、水回りなどを設け、鉄骨造部分は、東側にある竹林の風景を眺めるため、開放的な全面開口のリビング・ダイニング・キッチンとなっている。
![]() 北鎌倉の家 撮影:新建築社写真部 |
戸井建一郎 段差のある敷地に股がるかたちで開放的な空間を軽やかに浮かせた計画に好感が持てる。 |
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浦和の家 設計 手嶋保建築事務所 施工 山口工務店 所在地 埼玉県さいたま市浦和区 住宅特集 2009年06月号 038頁 九間(三間四方)のブロックを一間単位でずらしたり、重ね合わせて雁行状に配置した住宅。各室も一間単位で間仕切られており、室から動線まで一坪の空間が連なっている。また、雁行させたことにより、視線の先に庭や空間が見え隠れする。
![]() 浦和の家 撮影:新建築社写真部 |
薩田英男 3間×3間の矩形を雁行させた平面計画は、一見形態のためのコンセプチャルな操作のように見えるが、住むための場を生み出すための設計手法であることが伝わってくる。建物に囲まれた敷地のなかで、和室、ダイニング、リビングという家族が集まる場所に庭に対し独立した視線を確保しつつ解放させ、各部屋に十分な光と風と取り入れようとする設計意図が読み取れることである。 |
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KHB 設計 新関謙一郎/NIIZEKI STUDIO 施工 栄伸建設 所在地 東京都世田谷区 住宅特集 2009年06月号 080頁 幅2m、長さ15mの路地状の部分にはRCの壁が立てられ、入口には鉄板でつくられた離れを支えている。奥の矩形部分には木造在来工法の2階建ての母屋が建ち、外から一連の流れとして明るさと暗さが反転していくように空間が展開される。照明計画でも空間全体を照らすのではなく、暗さの中に部分的に明るさを生み出すように、間接照明を効果的に設置している。
![]() KHB 撮影:新建築社写真部 |
石井秀樹 小さく豊かな住宅。 |
新建築2009年7月号 | ▲
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天地のいえ 設計 髙﨑正治都市建築設計事務所 施工 夢建築ホロン 所在地 愛知県名古屋市 名古屋市に建つ木造2階建ての住宅.全体はほぼ一室空間で,螺旋吹き抜け,頂部の鏡,「交流管」と名付けられた4つのトップライト,ステンドグラスなどの開口から,複雑な光が室内に入る.木造の架構は寺社建築の伝統的な技術を応用してつくられている.施工に約3年半がかけられた.
![]() 天地のいえ 撮影:新建築社写真部 |
渡辺菊眞 パラパラ誌面をめくる流れを否応なくとめてしまう造形物。内部写真も真っ先に各パーツの造形が前景に迫りすぎて、造形物として叫びをあげるが、そこに落ちる光は期せずして散漫で弱い。作者がのぞむ神秘的空間はいつまで待っても現れないのではないか。最近では見なくなって久しい異形の執念的力作ではあるが、どこの世界に向けて、この造形物が対峙しているかは不明。それゆえか力作なのにどこかはかなく弱々しい。 田村圭介 20年前の建築デザインが百花繚乱だったころを思い出しました。 |
新建築2009年7月号 | ▲
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幕張インターナショナルスクール 設計 宇野享+赤松佳珠子+小嶋一浩+伊藤恭行/CAn+CAt 施工 畔蒜工務店 所在地 千葉県千葉市 日本初の教育指導要領に則した学校として設立されたインターナショナルスクール.幼稚園・小学校・中学校の一貫校(今回は幼・小のみ)で,校舎は幼稚園棟,小学校低学年棟,小学校高学年棟に分かれ,渡り廊下が各棟を繋ぐ.小学校棟では,メディアセンター(図書室・コンピュータ室などを兼ねる部屋)や中庭などを囲むように各教室が配置され,大きな空間と小さな場所の関係が全体をつくっている. span>
![]() 幕張インターナショナルスクール 撮影:新建築社写真部 |
駒田由香 素晴らしい教育施設は多く掲載されているが、その中でCAn+CAtの今までの実践による経験が随所にフィードバックされていると感じた。 |
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Kanta’s Jungle LCSH-#14 (名古屋・伊藤邸Renovation) 設計 横河健/横河設計工房 施工 加納工務店 所在地 名古屋市緑区 住宅特集 2009年7月号 020頁 喫茶店として使われていた川沿いの鉄骨造の倉庫を住宅としてリノベーションしている。1階天井の一部を抜いて吹き抜けを取り、1階と2階の気積をつないだ。吹き抜け部分リビングの床は石張り。それが外部テラスと統一した仕上げとなっていて、外部が内包化されたような、インテリアが外に開くような空間がつくられている。
![]() 撮影:新建築社写真部 |
土井一秀 丁寧につくられているけれども、つくりすぎてないので、既存の建物のスケール感がよりよく感じられるように思いました。 |
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西賀茂の家 設計 河井敏明/河井事務所 施工 和田工務店 所在地 京都市北区 住宅特集 2009年7月号 048頁 MAP 雛壇敷地の中段に建つ住宅の改修。雛壇敷地とそこからの眺望が活かされていない状態を改めている。ほぼ2階レベルに位置する前面道路から2階へ直接アプローチできるようにブリッジを増設し、雛壇敷地ならではの新しい動線を生みだしている。間取りや開口部を改修し、眺望や周囲への関係が一新された。
![]() 西賀茂の家 撮影:新建築社写真部 |
岡本宏 動線を変えることでポテンシャルを生かす。人が陥りやすい既成概念を打ち破ることで、考えもつかなかった住み方へと変貌を遂げている。住み手の驚きが目に見えるようである。 |
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玄以の家 設計 ケンチクイロハ 施工 田中工務店 所在地 京都市北区 住宅特集 2009年7月号 092頁 MAP 染織造形作家が住む二世帯住宅。賀茂川沿いに位置し、賀茂川の土手となる加茂街道と同じレベルの2階に、住宅の《アートのあるエントランス》としてギャラリースペースが設けられている。また、スキップフロアによる高低差や、東西を分断する1枚のコンクリート壁、太鼓貼りの障子などによって、多種の機能を緩やかに分節しながらも融合させている。
![]() 玄以の家 撮影:新建築社写真部 |
土井一秀 広がりのあるのびやかな空間だと思います。 |
新建築2009年8月号 | ▲
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広島市民球場 MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 設計 仙田満+環境デザイン研究所 施工 五洋・増岡・鴻治建設工事共同企業体他 所在地 広島県広島市 老朽化した旧球場に変わって,別敷地に建設された新しい広島市民球場.JR在来線,新幹線に隣接していること,観客が観戦しやすい配置などを考慮した結果球場は非対称系となっている.さまざまな観戦がてきるように複数タイプの客席が用意され,1周600mのコンコースは子どもが遊びやすい空間として仙田満氏が提唱している「遊環構造」が適用されている.下部は鉄筋コンクリート造,上部はプレキャストコンクリート造となっている.
![]() 広島市民球場 MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 撮影:新建築社写真部 |
土屋辰之助 日本の球場はおとなしいものが多かったが、「ボールパーク」と呼べる球場ができたことは嬉しい。原っぱで野球をするようなのんびりとしたスポーツ施設が日本にもっと増えるといいと思う。 |
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MOUNTAIN RESEARCH 大堀伸/ジェネラルデザイン 施工 大喜建設 所在地 長野県南佐久郡川上村 住宅特集 2009年8月号 016頁 MAP 長野県川上村に建つ週末に野外生活をおくるための住居。ノース・フェイス社の2mドームテントを居室として使用し、テントを張る平らな木製デッキ、キッチン、収納室、バス・トイレといった必要最小限の設備からなる。傾斜した敷地形状を活かした複数のレベル差をもったデッキ、薪棚、各室共に、同村の唐松間伐材で仕上げている。
![]() MOUNTAIN RESEARCH 撮影:新建築社写真部 |
山崎亮 施主からの依頼内容がかなりユニーク。その内容をうまく汲み取った設計も秀逸。建築に成る手前の建築。 |
新建築2009年9月号 | ▲
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木材会館 設計 山梨知彦/日建設計+勝矢武之/NSD 施工 大成建設 所在地 東京都江東区 新木場の駅前に建つ木材問屋の組合会館.都市における木材利用の一般化を試みた建築.木で構成されているファサードはテラス,階段,エレベータホールを内包し,オフィス空間と外部との間の縁側空間となっている.最上階のホールではコンピュータ制御のNC加工を用いた継手梁によって30m近い大スパン加工を実現している.
![]() 木材会館 撮影:新建築社写真部 |
馬場璋造 生(なま)の木材は法規上市街地では使えないというのが建築の常識である。それを覆し、生(なま)の角材を建築の内外に使えることを法規のなかに見出し、木材の可能性を進展させている。 川口通正 これまでに私たちの国になかったコンクリートと木の構成が、伝統を現代的に変革した建築として美しい。そして、コンクリートと木の新たな表現の可能性を発信している。日本の建築レベルが、ヨーロッパのレベルを越えた感のある建築だ。 磯達雄 規格材の木を使いながらも都市建築に端正なファサードをつくり上げた点を評価。平面もテナント・オフィスビルとしての新しい可能性を開くものである。 岡本賢 木という素材の特性をさまざまな視点から捉えて新しい木の魅力を引き出すことに成功した。 久保清一 マニフェスト「コンクリートから木へ」の可能性を開く、その起点に成り得るか。 原田哲夫 市街地の大規模建築における木材利用に真正面から切り込んだ作品。薬剤処理などの変化球に依存しない、木そのものの魅力というストライクゾーンど真ん中をめがけて直球を投げ込んだ迫力に敬意。 国広ジョージ 都会のオフィスビルにおいて樹木の自然を加工し、近代建築の厳しさ、無機質さにバランスを与える都市の新しい香り。内部の木空間と融合された環境フレンドリーなオフィスソリューションが親近感をされに深める。 山田匠 仕上げ材としての木の価値。 丹下憲孝 高層近代建築において、環境問題に対するひとつの回答として、またその建物の用途の表現として、このように大々的に木材を使用し、その暖かさやスケール感を美しく表現しているところに素晴らしさを感じました。 龍門達夫 木材を強引に使用しつつ、破綻なくデザインをまとめている総合事務所の力量に敬服致します。 |
新建築2009年9月号 | ▲
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サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2009 設計 妹島和世+西沢立衛/SANAA 施工 Stage one 所在地 イギリス・ロンドン 夏の4カ月間のみ設置される仮設のパビリオンである.構造用合板をコアに裏表それぞれ3mmの鏡面研磨仕上げのアルミ板を接着した屋根が,既存の木々を避けながら空中に浮かび,細い柱に支えられる.壁やファサードがなく周囲に開かれ,人々が自由に出入りできる公園のようなパビリオン.
![]() サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2009 撮影:Iwan Baan |
中村竜治 建築が持ってしまう先回りしたつくりかたを感じさせない建築だと思った。 田井幹夫 建築でも土木でもない、どこにも属することのない新たな空間のようなもの、が立ち現れている。研ぎ澄まされた新しさへの潔さには感服する。 今村創平 それなりに新しいものというものは身の回りに溢れていて、そうしたものに食傷気味でもあるが、本当に新しい空間は、人々をかくも楽しい気持ちにしてくれ、そのことは同じ設計をしている者にも励みとなる。 田村圭介 サーフェイスに映り込んだ周囲の緑が別の緑に見えている。使っている素材派異なるものの、トレド美術館のガラスの独特の透明感に通じるものを感じました。 芝山哲也 19mmのアルミニウム鏡面研磨仕上による屋根が周辺の環境を映し込むことで、内外を緩やかに連続させる場所をつくり出していて新鮮である。構造の考え方も非常に巧みで繊細である。 |
新建築2009年9月号 | ▲
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永井画廊 設計 西沢立衛建築設計事務所 施工 関口建設 所在地 東京都中央区 銀座の画廊の1階に,中央へいくにつれて大きく膨らむアクリル窓が嵌まっている.膨らんでいる部分は厚み12mm.薄い板を重ねては丸く削り,磨いてつくられている.窓全体がレンズ効果をもたらし,画廊の内部が拡大されて見える.
![]() 永井画廊 撮影:新建築社写真部 |
香川貴範 ファサード改修に満たない、ガラス1枚の入れ替えというあまりに汎用な問題が、ガラスの入れ替えだけでインテリア、もしくは街の設計が可能か? という難問に書き換えられている。西沢氏の作品には毎回驚かされるが、2009年でいちばん衝撃を受けた作品だった。狭小住宅よりさらに小さなインテリアやリフォームの設計でデビューする若い建築家が増えるなか、ここまで汎用かつ、小さな問題はなかったのではないだろうか? |
新建築2009年9月号 | ▲
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岩見沢複合駅舎 (岩見沢駅・岩見沢市有明交流プラザ・岩見沢市有明連絡歩道) 設計 西村浩/ワークヴィジョンズ 施工 岩見沢複合駅舎新築他工事共同企業体(札建工業・勝井建設工業共同企業体) 所在地 北海道岩見沢市 岩見沢駅,市役所サービスセンター,市民ギャラリーなどが入る複合駅舎.外壁にはイベント参加者の名前が刻印されたレンガ,カーテンウォールのマリオンには古レールが使われている.設計者は2005年に実施されたコンペにより選ばれた(『新建築』0504,NEWS).
![]() 撮影:新建築社写真部 |
今村創平 創意に溢れながらそれをうまくコントロールし、端正にまとめ上げたデザイン力が優れている。 原田真宏 残っていくことを前提としてデザインされた建築。煉瓦のサイン等、「残したいと願われるしかけ」が組み込まれている。そんな人の意志の力も借りて、時間を経る毎に美しくなっていくのでは、と期待したい。 |
新建築2009年9月号 | ▲
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ハルニレ テラス 建築 東 環境・建築研究所/東利恵 ランドスケープ オンサイト計画設計事務所 施工 竹花工業 所在地 長野県北佐久郡軽井沢町 MAP 軽井沢の「星野エリア」につくられた商業施設.敷地は西側の国道と東側の湯川の間で,14のテナントが入る9棟が既存のハルニレを避けて建つ.多様な屋外空間が設けられている.
![]() ハルニレ テラス 撮影:新建築社写真部 |
川口通正 既存樹木を残しながら建築群(切妻型)が斜めに振られて、沢も含めて高低差のある敷地条件の中、快適な外部空間創造のために、配置が絶妙に行われている。時間の経過と共によさを増すであろうランドスケープと建築の一体感が魅力的だ。 橋本廉太郎 緩やかな外部空間構成と隣接する川との関係性が優しい。 太田隆信 いいですね。ゆったり、のんびり、風景を見事に生かしきっている。 |
新建築2009年9月号 | ▲
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糸魚小学校 設計 アトリエブンク 施工 田中・鈴木・東邦特定建設工事共同企業体 所在地 北海道士別市 北海道北部の内陸,小学校の合併により,新設された校舎.少人数校ならではの家族的一体感を生かすため,オープンプランとし,廊下を廃止して,すべてを学習空間としている.地場産材の梁加工の上部にトップライトが設けられ,奥行の深い室内全体に光りを落とす.
![]() 糸魚小学校 撮影:新建築社写真部 |
佐々木誠 小規模校と地域性の特性を生かした素敵な小学校で、荒々しい集成材の梁が印象的である。 |
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くまもとアートポリス「モクバンR2」 球磨のバンガロー 設計 渡瀬正記+永吉歩/設計室 施工 光進建設 所在地 熊本県葦北郡芦北町 球磨川沿いに建つ木造のバンガロー.全体がFRPで覆われ,レース状の木の隙間からは光が室内に入る.熊本産のスギを使った木のレースは幅800mmでパネル化され,構造体になっている.「くまもとアートポリス」75番目のプロジェクトとして2007年に設計コンペで選ばれた.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
中江哲 木にFRPという素材の組み合わせ(リンゴ飴)がすばらしい。小さな建物ですが、昨年の新建築誌上ではいちばん素材的なチャレンジが成功している作品ではないでしょうか。 |
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Kokage 設計 末光弘和+末光陽子/SUEP. 施工 小川共立建設 所在地 千葉県我孫子市 住宅特集 2009年9月号 048頁 MAP 自然環境としての「木陰」の快適さを、住環境に翻訳することが試みられた夫婦ふたりの老後の生活のための住宅。建物は形の異なる十本の樹木状の構造ユニットで構成されており、庭木を延長するように配置されたユニットは、お互いにずれながら連結されることで、室内外にさまざまな「木陰」をもつ多様な空間をつくり出している。その構成により1階は、夫婦がほどよい距離を保ちながら、個々に好きなことを楽しめる。対照的に2階は、それぞれの個室がペントハウスのようなかたちで載る形式。樹木のように地下水を吸い上げ、躯体内を循環するこれらのユニットは、輻射冷房のシステムとしても機能しており、「木陰」に入った時の涼感を空間に加味している。
![]() Kokage 撮影:新建築社写真部 |
小泉雅生 環境配慮技術と構造・空間デザイン、さらにアクティビティを融合させようという意欲的な試み。 峯田建 構造と設備が相補的な関係を持って立ち上がり、新たな空間を獲得しているところがすばらしい。地中熱に着目したローテクな設計スタンスに共感する。1階天井付近の非構造壁の存在をもっと消せると、いっそう木陰感がでたと思う。 |
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狛江の住宅 設計 長谷川豪建築設計事務所 施工 ミサワホーム東京 所在地 東京都狛江市 住宅特集 2009年9月号 120頁 MAP 敷地は100m2ほどの角地で、建蔽率は50%。半地下の空間は、地盤面から1m以下の地階は建蔽率対象外となることを利用し、敷地いっぱいに建物を建て、半分を居間、もう半分を庭、庭の下に寝室や水回りなどのプライベートな半地下の空間をつくっている。その半地下上部の庭の空地が、密集した住宅地を少し明るくするような存在になることが期待されている。
![]() 狛江の住宅 撮影:新建築社写真部 |
岡本宏 都心の住宅地の何処にでも見られる街中戸建て。この住宅の敷地面積と延床面積は、住人が住み続けたいと決断する規模との研究もあります。往々にして猫の額ほどの庭と駐車場で道路に接する、というお決まりの解決が多い中で、一部半地下にすることで、建蔽率の制限(いいか悪いか別問題であるが)を解決、近隣からも見通しのいい庭(屋上)を確保、今後のコミュニティ形成への期待感も窺わせる。 堀尾浩 街並みの中で認識される小さなボリュームと基壇のテラス。それが内部では大きな部屋と小さな寝室というように変化しながら連続する。人が認識するスケールや距離に対する感覚を刺激するようで、実際に体験してみたい建築です。 |
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丸の内パークビルディング/三菱一号館 設計 三菱地所設計 施工 竹中工務店 きんでん 東光電気工事 弘電社 高砂熱学工業 斎久工業 西原衛生工業所 三菱電機 日立製作所 東芝 小岩井農牧 所在地 東京都千代田区 都市再生特別地区の指定を受けて,地上34階建ての丸の内パークビルディングとの一体開発で,丸の内最初のオフィスビルである三菱一号館が復元された.復元では,保存部材などに基づいて素材やディテールまでを復元しているほか,免震構造を採用することで,創建時の煉瓦組積造,耐火性能試験によって,木造小屋組の構造も復元している.
![]() 丸の内パークビルディング/三菱一号館 撮影:新建築社写真部 |
手嶋保 完成披露会に参加。その復元技術に圧倒されつつ、新調達石材の中に、上品な質感が際立つ当初石材を目にすると、処分された大半の当初材が惜しまれる。 馬場璋造 三菱一号館の復建についてさまざまな意見が飛び交っている。しかし当時の状況を知る者として、このプロセスはまさに歴史を顕わすドラマとして特記に値するものである。 太田隆信 保存・再生という分野に復元を加えた画期的な力作。それにつけても、丸の内パークビルディングもう少し背景的な佇まいであってもよかったのでは。 |
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プロジェクト 東京駅丸の内駅舎保存・復原 設計 東日本旅客鉄道 東京工事事務所・東京電気システム開発工事事務所 東京駅丸の内駅舎保存・復原設計共同企業体 施工 東京駅丸の内駅舎保存・復原工事共同企業体 所在地 東京都千代田区 現在は2階建ての駅舎であるが,1914年に辰野金吾の設計で創建された当時は,3階建てでドームも現在とは異なる形状であった.2007年4月から進められている保存・復原工事によって,この創建当時の姿が蘇ると共に,地下躯体の新設,駅,ホテル,ギャラリーなどの機能強化が行われる.また,特例容積率適用区域の適用により,東京駅の余剰容積は周辺の各ビルに移転されている.
![]() 撮影:新建築社写真部 |
龍門達夫 現在の駅の機能を損なうことなく、保存のみならず、設計当時の姿に復元しようという壮大な建設事業そのものに敬服致します。 |
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プロジェクトウエスト 設計 三分一博志建築設計事務所 施工 シマダ 所在地 瀬戸内 MAP 瀬戸内海に面した丘に立地する.緩やかに傾斜した敷地に煉瓦壁の母屋,離れ,蔵を雛壇状に配置し,居間を含むガラスの空間でそれらを繋いでいる.ガラスの空間には,地形に合わせてレベル差が設けられており,空気や熱が,地形に沿って緩やかに移動することで室内環境が整えられている.
![]() プロジェクトウエスト 撮影:新建築社写真部 |
国広ジョージ 地中海のコンテキストに建つ住宅のような様相をもつちょっと不思議な建築。つまり日本の地中海である瀬戸内海の地に根差す大らかな建築だ。もちろん、三分一氏のパッシブな環境システムも披露されている。 |
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離山の家 設計 城戸崎建築研究室 施工 新津組 所在地 東日本 MAP 既存の樹木が生い茂った敷地の北側に建物を配置し,南に大きく庭が取られている.庭に面してフルハイトの大きな開口と庇とテラスが設けられている.奥行が深く,軒髙を低く抑えられた庇は,庭と建物との間に中間領域を形成すると共に,スチールプレートのシャープな軒先が外観にプロポーションに調和をもたらしている.
![]() 離山の家 撮影:新建築社写真部 |
土屋辰之助 日本のファンズワース邸。端正で落ち着いた大人な空間にあこがれる。 |
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NOWHERE BUT SAJIMA 設計 吉村靖孝建築設計事務所 施工 平成建設 所在地 神奈川県横須賀市 MAP 敷地が民間開発による護岸を含むため,海に接して建つ一週間単位の貸し別荘.江ノ島や富士山を望むことができる.内部は,海に向かう一方向の筒状の空間が連続する.壁面を一方向に配することで,開口から見える風景を限定し,周囲から見られることなく開放的に過ごすことができる.それぞれの筒は多様な形や色調.
![]() NOWHERE BUT SAJIMA 撮影:新建築社写真部 |
香川貴範 プライバシーや法的な条件が潜在化された、ファサードがつくる「作品」の層が誌面では前景化している。しかし、別会社であるNowhere Resortを通して不動産事業にコミットし、リゾートの意味を問い郊外をリノベートしようとする、作品に定着し切れない「活動」の層との総体にこの建築の面白さがある。吉村氏のいくつかの作品には、この2層化が見られる。建築作品を読むことに要求されるリテラシーの所在は、変わってしまったのではないだろうか? 今村雅樹 海辺のウィークリー別荘ということで、佐島の海とロケーションがうまくあった作品となっている。海側のファサードの開口が饒舌なわりにうるさくなく、内部空間との関係も上手である。難しい敷地に巧みにプランしたことがすべてにうまく展開している。機会があれば実際に拝見してみたいと思った。 |
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三日月の家 設計 坂 茂/坂茂建築設計 施工 蒲谷工務店 所在地 静岡県田方郡 住宅特集 2009年10月号 036頁 北向きに開いた三日月形の平面形の住宅。断面は倒れたUの字型で、ヒノキ材で統一され、天井から壁、床、デッキまで一体的につながる。内部は、水回り・収納などのヴォリュームを間仕切りとし、中心にLDK、両端に寝室のある構成となっている。
![]() 三日月の家 撮影:新建築社写真部 |
土井一秀 単純でおおらかな造形が、気持ちのいい空間をつくっていると思います。 |
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豊崎長屋 設計 大阪市立大学 竹原・小池研究室 施工 山本博工務店 所在地 大阪市北区 住宅特集 2009年10月号 088頁 MAP 2007年度から行われている、大正時代に建てられた長屋群の改修・耐震補強プロジェクト。主屋・銀舎長屋、東長屋と西長屋から合計5つの住戸を中心に改修・耐震補強された。約3.6mの路地空間を挟んで建ち並ぶ長屋群は登録有形文化財にも登録され、長屋文化を使いながら残すことを実践している。
![]() 豊崎長屋 撮影:新建築社写真部 |
原田哲夫 築80年の長屋に、先人の都市居住の知恵に敬意をはらいながら、ほんの少し手を加えることで、上質で佇まいある暮らしを生み出している。大仕掛けな環境建築が声高に叫ばれるなか、「沈黙は金」という信念と良心の作品。 |
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STONE TERRACE 設計 土井一秀建築設計事務所 施工 西部建設 所在地 広島県安芸高田市 住宅特集 2009年10月号 102頁 棚田の一部を改修して住居とした計画。棚田の地形に矩形平面の住宅を置くことで、農地であった既存の地形との間に、光を取り込む段上の中庭、風景を水平に切り取る水の庭、北から南へ上昇しながら吹き抜ける風などが生み出されている。
![]() STONE TERRACE 撮影:新建築社写真部 |
川口通正 農村風景の中に建築をはめ込む時、このような方法があるのだと気付かされる。住まいの空間が、ダイナミックに自然へ抜けていくことが心地よい。よく考えてある。 |
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八幡浜市立日土小学校保存再生 原設計 八幡浜市役所土木課建設係 松村正恒 調査・基本設計・監修 日本建築学会四国支部日土小学校保存再生特別委員会 実施設計 建築 和田耕一(既存東校舎・既存中校舎) 武智和臣(新西校舎) 施工 一宮工務店 白滝本店 デンカ 四電工八幡浜営業所 小西建設 野本設備 四電工八幡浜営業所 伊藤組 所在地 愛媛県八幡浜市 1958年に松村正恒氏が設計した小学校.1999年にDOCOMOMO JAPAN20選に選出されるものの,当時から建て替えか保存かで地域の市民や教育委員会を巻き込んだ議論が続けられてきた.最終的に既存校舎の保存と,新校舎を1棟建てることに決定.今年の6月末に,その保存再生工事が完了した.
長年にわたるこのプロジェクトについて,花田佳明氏の記事を中心に関係者のコメント,設計当時の原図,撮り下ろした写真などと併せて紹介. ![]() 八幡浜市立日土小学校保存再生 撮影:新建築社写真部 |
磯達雄 現地を訪れる機会を得て、写真や図面だけでは絶対に伝えきれない場所の質をもった建築だと理解した。保存再生を実現させた地元の関係者を称えたい。 久保清一 再生手法を超えて建築の強度に感動した作品。 駒田剛司 その出自と改修保存に至った経緯が奇跡のように思える。 田井幹夫 本当によいものがちゃんと残っていくというのは希有なこと。残るべくして残る本当によい建築、というものをつくりたくなるよい話であった。 小泉雅生 ストック活用の時代の建築像、社会的な存在としての建築家像が示唆されている。 原田真宏 そこにあってほしいと望まれて、残されていく、幸せな事例。地域の記憶媒体としての建築の価値が印象的に示された。 |
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根津美術館 設計 隈研吾建築都市設計事務所 施工 清水建設 所在地 東京都港区 南青山の広大な敷地に建つ美術館の建て替え.アプローチを竹林と竹垣に挟まれた軒下空間とし,都市と美術館,その背後にある庭園との関係をつくっている.屋根は役物を排した瓦葺き,軒先をリン酸処理した鉄板とし,低くて深い軒下空間としている.また,内部の宗教展示室は屋根の形をそのまま反映させた勾配天井とし,庭園に向けて大開口を持たせている.
![]() 根津美術館 撮影:新建築社写真部 |
馬場璋造 風情のあった旧根津美術館であったが、新美術館はその雰囲気を継承し、飛躍的に増幅させている。アプローチからホール、展示室に至る空間構成に優れたたものがある。 岡本賢 日本建築の持つ緊張感のある空間が新たな手法、素材、ディティールで創出された。 橋本廉太郎 入り隅、出隅のディテール感が馬頭町美術館と似ているがシンプルさが美しい。 駒田剛司 今や「和」を世界に発信できる作家は他にいないのではないか。 原田哲夫 軒下のアプローチ空間に、重源の力感と深い空気感を感じ取ることができた。軒先の鋼板が、雨水により桟瓦の窪んだ部分と同じピッチで変色して縞模様の風合いを出させるという、読みの深さに脱帽。 芝山哲也 「和」の要素を空間構成、素材、屋根の形態などの各要素毎に抽象化し統合することで、強い場所性を持ちながらもシャープで新しい質の建築に昇華している。 |
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小布施町立図書館「まちとしょテラソ」 設計 古谷誠章+NASCA 施工 北野・黒崎・小布施建設共同企業体 所在地 長野県上高井郡小布施町 2007年に行われた「図書館(交流センター)」のプロポーザルで最優秀となったもの(本誌0712NEWS).「広場」のような行灯のような図書館が意図された.周囲の山々に呼応する山なりの屋根が架かり,柔らかな曲面の天井による一室空間.樹木状の独立柱が3本建つ.
![]() 小布施町立図書館「まちとしょテラソ」 撮影:新建築社写真部 |
水野一郎 町民にとって居心地よい大切な場所がつくられた。 |
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早稲田大学理工カフェ 設計 古谷誠章+NASCA×久米設計 施工 大成建設 所在地 東京都新宿区 早稲田大学西早稲田キャンパス内,明治通り沿いに建つカフェ.校舎(55号館)と道路の間にある既存のケヤキ大樹の下に建つ.
通りに対して全面に開口部を設けており,キャンパス側は横引き折りたたみ戸でオープンカフェにもなる.大学ラウンジ部分の屋根は細い鉄骨柱(150×50mm)6本で支えられている. ![]() 早稲田大学理工カフェ 撮影:新建築社写真部 |
川口通正 訪れてみると明治通り沿いの悪条件のところに、気持ちよい内外一体空間が生まれていることに驚く。既存樹木との取り合い部RC屋根版の、カットラインが、空間に大きな魅力を与えている。少し残念なのは道路側に、スチールフラットバーの板柱しかないのに、黒い開口が透けた感じや浮遊感を邪魔していることだ。 |
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PLUS 設計 原田真宏+原田麻魚/MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 施工 大同工業 所在地 静岡県熱海市 住宅特集 2009年11月号 064頁 伊豆山の中腹にある週末住宅。南方に太平洋が望め、北と西側を森に囲まれた自然環境が豊な敷地に、ふたつの直方体のヴォリュームを中心をずらしながら直交させた幾何学的な構成をもつ。下段の直方体は海側に向かって伸び、上段の直方体は森側に向かって伸びる。それぞれテラスを介して、海と森のふたつの風景に対して量塊をもちながら向き合う。外壁・屋根・床はすべて白い大理石造で、海と森の先端部に近付くほど磨きを上げて環境に溶け込むようなディテールとなっている。
![]() PLUS 撮影:新建築社写真部 |
山崎亮 外観が美しいだけでなく、周辺環境の魅力を積極的に取り込もうとする空間の構成もまた秀逸である。 |
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Piccolo Teatro 設計 伊藤寛アトリエ 施工 渡辺富工務店 所在地 千葉県市川市 住宅特集 2009年11月号 116頁 敷地の形状に合わせた五角形の輪郭と五つに折れた屋根とに包まれた一室空間。1階の土間空間から3段上がってキッチン・ダイニングスペース、その先には2階の6つのスペースがスキップしながら数珠つなぎに展開する。それぞれのスペースには高さの異なる腰壁あるいは仕切り壁が取り付けられており、吹抜け側からは空中に箱が浮いているように見えるが、裏に回ると書き割りの舞台装置のようでもある。またさまざまな素材や仕上げにより、豊かな表情をもち合わせている。
![]() Piccolo Teatro 撮影:新建築社写真部 |
薩田英男 着色した杉材と左官を使ってややもすると伝統的な見慣れた住宅になってしまうところを、作者の感性を通してフレッシュで軽快な美しい空間をつくり出している。またコスト、素材、敷地との関係性など、住宅に要求される諸要素を形態化するなかで、選別せずトータルにバランスよくまとめあげているところに、経験に裏打ちされた設計力を感じる。 |
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プンタ・デラ・ドガーナ再生計画 設計 安藤忠雄建築研究所 施工 Dottor Group S.p.A. 所在地 VENICE, ITALY イタリアのベネチア,サンマルコ広場の対岸にある15世紀に建てられた税関倉庫を現代アートの美術館にとして改修・保存したもの.クライアントのフランソワ・ピノー氏とはパリ郊外に計画したピノー現代美術館からのつきあいで,ベネチアでは2006年に運河中流にPalazzo Grassiを完成させている.建物は基本的に元の状態に戻すことが原則とされた.16,000mm角のセントラルコートを中心に各展示スペースが展開する.
![]() プンタ・デラ・ドガーナ再生計画 撮影:新建築社写真部 |
駒田由香 既存部分も素晴らしいが、それに負けない力強さを感じた。 今村創平 通常では望み得ない条件のもと、限られたオペレーションを確信を持って行う巨匠のすべに感嘆。 南後由和 昨年8月にヴェネチアを訪れた際、プンタ・デラ・ドガーナにも行くことができました。安藤忠雄氏のコンクリート打ち放しの壁面に対しては、度々指摘されることなのかもしれませんが、まさに絹のような肌理で、その施工精度は安藤建築のなかでも群を抜いていると思いました。誌面を通じては、開口部の格子がヴェネチアの建築家カルロ・スカルパがオリベッティーのショールームで用いた格子へのオマージュだということを知り、はっとしました。しかも、鳥瞰写真から、プンタ・デラ・ドガーナとスカルパのショールームがあるサンマルコ広場は、お互いにグランド・カナルの対岸に位置し共鳴し合っていることにも気付き、驚かされました。 |
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地層のフォリー 設計 大西麻貴+小川勇樹+熊澤智広+百田有希+南方雄貴 監修 矢作昌生 施工 笹丘住宅 原田左研 所在地 福岡県福岡市東区 福岡市の人工島,アイランドシティ内の公園につくられたあずまや.伊東豊雄氏らがディレクターとなり,福岡市と九州大学大学院人間環境学府の主催で行われた学生対象のワークショップにより実現したもの.外壁は日田土掻き落とし仕上げ.内部には大小さまざまな空間を含んでいる.
![]() 地層のフォリー 撮影:新建築写真部 |
手嶋保 単純に、好ましい空間。 |
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スモールハウスH 設計 乾久美子建築設計事務所 施工 安松託建 所在地 群馬県高崎市 榛名山の麓に建つ,方形屋根,鉄筋コンクリート造の週末住宅.方形を対角線上に間仕切った4つの三角形の部屋を持つ.各部屋の壁左右いっぱいに開けられた木製建具からは,それぞれ違う要素の風景が見える.
![]() スモールハウスH 撮影:新建築社写真部 |
森田昌宏 設計者のレクチャーもお聞きしましたが、素直に楽しく効果的に解いているのを好ましく思いました。 中江哲 これも非常に小さい建物ですが、建物の配置や、開口部のとり方、RC壁の配置など、繊細でかつ大胆なアプローチです。「デザインのためのデザイン」に走らない潔さが感じられます。 高橋堅 とても小さな、そしてそれ故にこその豊かさを携えた空間の質が、「写真」というメディアの枠を超えて、ひしひしと伝わってきた。 |
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O邸 設計 中山英之建築設計事務所 施工 志水工務店 所在地 京都府京都市 京都の美観地区の住宅街に建つ.鉄骨造2階建てのゆるやかにカーブする母屋と,母屋に垂木を渡した両脇の下家からなる.ファサードは,幅2m,高さ7.1m,19mm厚の1枚ガラス.母屋の外壁は,下家のあるなしにかかわらず,すべて同じ吹き付け仕上げが連続しており,西側の下家で1階に接する階段は,途中でこの外壁を通過し,東側の扉もこの壁を通過する.外壁としての仕上げと,間仕切り壁のような薄さが,家の内外を隔てるはっきりとした境界であることと,日常的に行き来することを両立させ,掴みにくい室の距離感をつくり,街と敷地と家の間にある生活に奥行を生み出そうとしている.
![]() O邸 撮影:新建築社写真部 |
柄沢祐輔 空間のいちばん奥と手前がいつの間にか繋がってしまうというクラインの壷のような形式性を、家型とシンプルな平面操作によって精妙に展開している。建物を前面から見ると空間のいちばん奥と手前が階段室を介して視覚的に繋がっていることが瞬時に知覚され、独特の身体性が立ち上がる。 中村竜治 小さなことも大きなことも同じように価値が見出されている感じがしていいなと思った。 高橋堅 見慣れない「形態」を、しっくりとくる「空間」に着地させている。どのようなスタディーが行われているのかが興味深い。 |